暇なので中坊進二は夏目漱石の「こころ」を読みました。
中学の時にチラっと読みましたが、
改めて全文を読みほどくことにしたのです。
「こころ」は中々シビアな内容だと中坊進二は感じました。
桃太郎のように勧善懲悪ものの童話ではなく、
人間の暗い部分を色々と描いている内容になります。
暗いと言いましたが、
騙し合いをするようなものではなく(でも割と騙し合いはある)、
自己嫌悪がテーマのような内容になっていると中坊進二は感じました。
少なくとも、「先生と遺書」を読んだ後に「先生と私」を読み返せば、
先生がこの時に何を思っていたかがヒシヒシと伝わりそうです。
「こころ」を要約するのは中坊進二には無理です。
こうした文学作品は全編に渡って読み解くべきものと中坊進二は思います。
映画だって、ウィキペディアの概要を見ただけでその映画を感動することは難しいでしょう。
どのシーンも重要なため、一文字も見逃さずに読むべきだと中坊進二は思っています。
「こころ」は本当に色々と心について考えさせられる作品です。
しかし、かなり深いテーマで語っているので忘れがちになりますが、
この作品は主人公の問題を全て丸投げにして終わります。
主人公の父親はどうなったのか、主人公の今後の仕事はどうなるのかとか、
主人公が電車に乗って先生の下に行ってどうするのかとか、全て謎のまま作品は終わります。
3部構成の「下」に当たるものが先生の独白であり、
先生が主人公でしたら謎は全て解決して終わるのですが、
「私」を見事に置き去りにしている形になっているのです。
今後、この私がどうなるのか、中坊進二は非常に気になっています。
「こころ」は明治時代末期を舞台にした作品です。
およそ100年前が舞台ですが、当時の価値観は現代と大きく異なっていました。
まず、結婚に関しては家長が決めるのが普通の時代でした。
「先生」は従妹との結婚を突っぱねましたが、
もしも先生の両親が生きていたら、
どうなっていたか分からなかったかもしれません。
また、先生は当事者ではなくまず、
その母親に対して「娘さんをください」と告白しています。
今でしたら当事者同士のプロポーズが先ですが、
昔の結婚は親が決めるのが普通だったのです。
今と違い、文化・風土的に独身が生きにくい時代とも言えます。
「こころ」は特に悲しい物語ではありません。
内容は暗いですが、暗い気持ちにもなりません。
文化が違い過ぎて、今の現代人では感情移入がしにくいと中坊進二は考えます。
少なくとも、先生の結末を予めネタバレされていれば、
これと言って衝撃を受けることはないでしょう。
それよりも中坊進二はフランダースの犬で泣けます。