自然発火現象というのがあります。
中坊進二が通っていた大学は木材系でしたので、
自然発火の温度については当然のように学びました。
引火点(着火点)と発火点の2つがあり、
前者は火元があると瞬間的に燃え広がる温度、
後者は火元がなくても燃焼してしまう温度になります。
もちろんどちらとも酸素が必要ですが、
物質というものが自然発火することもあるのです。
その代わり、発火点の温度はかなり高いです。
一般的な木材でしたら、250度くらいの高温が必要です。
火山地帯を除いて、地球上で最も暑い気温は60度くらいと
中坊進二は聞いたことがあります。
平温で燃えるものはほぼなく、
仮にあったとしたら、それは絶賛燃焼中になります。
日常生活において発火点を気にすることは皆無ですよ。
中坊進二も特に気にしていません。
しかし、状況によっては気を付けないといけないことがあります。
それは酸化反応です。
成分によってはこの酸化で瞬間的に250度を超えてしまうことがあると、
中坊進二は大学で学びました。
確か乾燥剤に水を掛けると発熱するらしいです。
(袋が破けていなければ大丈夫です)
吸着熱という概念があります。
物質によっては熱を溜めこむ性質があり、
蓄積され続けることで発火点をオーバーすることがあるそうです。
キッチン周りの壁の木材はそうなりやすいので、
しっかりと防護カバーを掛けましょう。
もちろん、中坊進二の家はきちんとやっていますよ。
これを怠った古い建物は、
自然発火してしまう恐れがあると言われています。
例え、コンロの火を消しても、
備蓄され続けた壁の木材が自然と火を放つことがあるのです。
築地場外市場は350年の歴史があり、
建物自体も90年以上続くものが多かったです。
90年分の吸着熱がどれほどのものか、中坊進二には想像も付きません。
ただし吸着熱はそんなシンプルな概念ではありませんので、
火事の原因は他にもある、
もしくは何かしらの相乗効果が合わさったと考えた方が良いです。
一応、中坊進二が調べた限りでは、
現時点においては「伝導過熱」が最有力候補のようです。
意外と知られていませんが、
一般家庭用のガスコンロから出る炎の温度はマックスで400度くらいです。
つまり、400度までなら温度を高められることを意味します。
なお、鉄の融点は1500度なので、
家庭用の火をどんなに浴びせても熔けることはありません。
一般家庭で製鉄では不可能なのです。
ただし、先も言いましたが木材の発火点は250度です。
引火点に限っては160度になります。
火の粉がちょろっと接触しただけで、一気に燃え広がることがあるのです。
糸魚川の鍋の空焚き事件も
そんな感じに燃え広がったと中坊進二は思っています。